ラインスキャンカメラの解像度とラインスキャン周波数の計算
はじめに
ラインスキャンカメラを選定する際、適切な解像度とラインスキャン周波数を決定することは、目的に合ったカメラを選ぶ上で非常に重要です。本記事では、具体的な例を用いて、これらの計算方法を解説します。
例題:ラインスキャンカメラの計算
幅550mmのコンベア(カメラの視野のX方向)を使用し、コンベアの速度が毎秒4メートルの場合、ピクセルあたり0.3mmの精度を達成したいとします。
横方向の解像度の計算
- コンベア幅 $$ W = 550 \, \text{mm} $$
- 希望する解像度 $$ R_X = 0.3 \, \text{mm/pixel} $$
- 必要なピクセル数 $$ N = \frac{W}{R_X} = \frac{550 \, \text{mm}}{0.3 \, \text{mm/pixel}} \approx 1833 \, \text{pixels} $$
したがって、最低でも1833ピクセルが必要です。一般的なラインスキャンカメラの解像度は、1024、2048、4096、8192、12288ピクセルなどがあります。この場合、2048ピクセル(2k)のラインスキャンカメラを使用すると、実際の解像度は約0.27mm/ピクセルとなり、要求をわずかに上回ります。
- 実際の解像度
ラインスキャン周波数の計算
画像に歪みが生じないようにするためには、X方向とY方向の解像度を一致させる必要があります。
- 歪みのない画像の条件 $$ R_X = R_Y $$
- 解像度 $$ R = 0.27 \, \text{mm/pixel} $$
- コンベア速度 $$ V = 4000 \, \text{mm/sec} $$
- サンプリングレート(ラインスキャン周波数)
$$ F = \frac{V}{R} = \frac{4000 \, \text{mm/sec}}{0.27 \, \text{mm/pixel}} \approx 14,814.81 \, \text{Hz} $$
この計算から、約14.8kHzのラインスキャン周波数が必要であることがわかります。
ラインスキャンカメラの仕様:計算結果
項目 | 数値 |
---|---|
ラインスキャンカメラの解像度 | 2048 |
ラインスキャン周波数 | 14.8 kHz以上 |
重要なポイント
コンベアにはインクリメンタルエンコーダを使用することを強く推奨します。これにより、コンベア速度の変動(始動、停止、速度の低下)にもかかわらず、搬送方向の解像度が一定に保たれ、歪みのない画像を取得できます。
おわりに
適切な解像度とラインスキャン周波数の計算は、ラインスキャンカメラを効果的に使用するための基本です。これらの計算を正確に行うことで、検査や計測の精度を向上させることができます。