人工皮革|シボの色の模様と凹凸の形を、1回の撮像で分けて見る

人工皮革の外観検査では、表面のシボ(表面の型押し模様)そのものが複雑な背景になります。傷やシボ潰れ、異物、しわといった「形」の異常も、カラー画像では色の濃淡の模様に紛れやすくなります。本ページは、市販の赤色の人工皮革をTR-100で撮影し、FORESIGHT STEREO®の4つの出力でシボがどう見えるかをまとめた観察例です。撮影したのは欠陥サンプルではなく、通常品の表面をそのまま写したものです。

カラー画像では、シボの模様は「色の濃淡」として見えている

Live(通常のカメラで見た見た目)では、赤い表面全体にシボの網目模様が広がっています。ただしこの網目は、「明るい赤の帯」と「濃い赤の島」という色の濃淡として見えています。

2D Textureは、陰影を除いた表面の色・模様をグレーで表した画像です。色はグレーになりますが、明るい網目と暗い島という模様はLiveとほぼ同じです。陰影を除いても同じ濃淡の模様が残る、という点が、次に見る3D Surfaceとの大きな違いになります。

通常のカラー画像には、色・模様と凹凸による明暗が重なって写ります。カラー画像だけを見ていると、どこまでが色の模様で、どこからが凹凸なのかを区別しにくいのはこのためです。

赤色の人工皮革を撮影したLive・2D Texture・3D Surface・Surface Normalの4画像を並べた比較(視野全体)
視野全体(約50mm角)の4モード比較。Live・2D Textureではシボが色の濃淡の網目として、3D Surfaceでは細い溝の網目として、Surface Normalではふくらみの向きを表す多角形のセルとして見えます。

3D Surfaceでは、色の濃淡が消えてシボの溝の網目だけが現れる

FORESIGHT STEREO®は、フォトメトリックステレオ(照度差ステレオ法)を用いています。カメラと対象を固定したまま照明方向だけを変えて複数枚を撮影し、同じ場所の明るさの変化を比べて、表面がどちらを向いているか(法線)を計算する手法です。面の向きと表面の色・模様を分けて推定するため、同じ1回の撮像から「色の模様」と「形」を別々の画像として取り出せます。(フォトメトリックステレオの解説)

3D Surfaceは、凹凸を浮き彫りのように表現した画像です。ここでは、Liveや2D Textureに見えていた色の濃淡がなくなり、シボの溝が細い線の網目として現れます。網目は多角形のネットワークになっており、視野全体で溝の走り方が一様です。型押しが視野全体にわたって同じ調子で入っている様子が、色ではなく形の画像として見て取れます。

明るい帯や濃い島といった色の模様に左右されず、溝の並びだけを視野全体で追える。これが、「色の模様と形を分けて見る」ということの具体的な姿です。

拡大すると、色の模様と溝の網目は形が違う

中央の約12mm角を切り出して拡大すると、この違いがよりはっきりします。

Liveと2D Textureでは、濃い赤の島と、その周りの明るい帯という、幅のある色の模様が見えます。一方、3D Surfaceでは、細くシャープな溝の線が多角形をつくっています。帯のような幅はなく、細い線が網目を描く見え方です。

同じ場所を写していても、色の模様と溝の網目は形が違います。カラー画像で見えている「模様」が、そのまま凹凸の形を表しているわけではない、ということです。シボのある素材では、見た目の模様から凹凸を推し量るのではなく、形は形として見る必要があることを示す例と言えます。

人工皮革の中央約12mm角を拡大したLive・2D Texture・3D Surface・Surface Normalの4画像の比較
中央約12mm角の拡大。Live・2D Textureでは幅のある色の帯と島に見える模様が、3D Surfaceでは細くシャープな溝の線の網目として現れ、両者の形が違うことが分かります。

Surface Normalでは、シボ一つ一つのふくらみが面の向きとして分かれる

Surface Normalは、面の向きを色で表した画像です。視野全体では青〜紫の色で、シボ一つ一つのふくらみ(面の傾き)が多角形のセルとして見えます。ここで色が表しているのは面の向きであり、表面の赤色の濃淡ではありません。

拡大すると、溝で区切られた各セルが、向きの違う面、つまり小さな丘として色分けされます。3D Surfaceが溝の網目を「線」として見せるのに対し、Surface Normalは網目に囲まれた一つ一つの「面」の傾きを見せる、という関係です。同じ撮像から、溝とふくらみという2つの切り口でシボの形を見ることができます。

人工皮革の3D Surface拡大画像。シボの溝が細い線で多角形の網目をつくっている
3D Surfaceの拡大(中央約12mm角)。シボの溝が細い線となり、多角形の網目をつくっている様子です。

形を分けて見られることは、傷・シボ潰れ・異物・しわの検討に役立つ可能性がある

今回の観察では、色の模様とシボの形を別々の画像として取り出せることを確認しました。これは、人工皮革で「形」が問われる次のような項目を検討する際に、役立つ可能性があります。

  • 傷:シボの網目とは異なる線や凹みが、色の模様に紛れずに現れるか
  • シボ潰れ(型押しの乱れ):一様な溝の網目が乱れた部分を、形として確認できるか
  • 異物:表面に乗った異物が、周囲のセルとは違う面として現れるか
  • しわ:素材のしわが、シボとは別の面の傾きとして見えるか

いずれも、カラー画像では色の模様に紛れやすい項目です。形の画像では背景となるシボの網目が一様に現れるため、そこからの乱れとして捉えられるかどうかが、検討のポイントになります。

一方、凹凸を伴わない色むらや汚れは形には表れにくいため、Liveや2D Textureと合わせて見ることになります。

なお、今回撮影したのは通常品であり、欠陥サンプルでの評価はこれからです。実際にどの異常がどのように見えるかは、対象のサンプルを撮像して確かめる必要があります。

撮像の条件

  • 対象:人工皮革(赤色・シボ加工、市販品の通常品)
  • 装置:TR-100(FORESIGHT STEREO®)
  • 視野:約50mm角(拡大画像は中央約12mm角を切り出し)
  • 撮像:照明方向を8方向に変えた8枚から、4種類の出力(Live / 2D Texture / 3D Surface / Surface Normal)を生成
  • 撮影日:2026年10月

シボや型押し模様のある素材の外観検査でお困りではありませんか

株式会社TOMOMI RESEARCHでは、お客様のサンプルでの撮像のご相談を受け付けています。模様の上で形の異常をどう見るか、欠陥サンプルでどのように見えるかといった評価も含めて、お気軽にご相談ください。