印刷された色が消え、刻印だけが浮かび上がる ― TR-300でナンバープレートの3D表面を観察する
製品表面の「色」と「凹凸」は、人の目には混ざって見えます。だからこそ、印刷に紛れた刻印や、塗装の下の微細な傷を見つけるのは難しい――。今回は、AI外観検査システム TR-300 で「YOKOSUKA」と刻まれたナンバープレートの表面を3次元で観察した結果をご紹介します。印刷された色が消え、物理的な刻印パターンだけが立ち上がる様子をご覧ください。
![TR-300の撮像ステージにセットされたYOKOSUKAナンバープレート]
! TR-300の撮像ステージにセットされたYOKOSUKAナンバープレート
なぜナンバープレートを観察したのか
サンプルに選んだ装飾ナンバープレートには、検査技術の観点で都合のよい2つの要素が同居しています。
- 印刷された色のグラフィック ― 文字色や背景のライン、年月表示など、平らな面に乗っているだけの「色の情報」
- 物理的な刻印(エンボス) ― プレスで盛り上げた立体文字や外周のフチなど、表面そのものが変形した「形状の情報」
通常のカメラではこの2つが混ざり合い、色の濃淡なのか本当に凹凸があるのか区別できません。だからこそ「色を無視して形状だけを取り出せるか」を確かめるのに最適なサンプルなのです。
4方向から光を当てて撮る ― フォトメトリックステレオ
TR-300の中核は フォトメトリックステレオ。複数方向から光を当てて撮影した画像を組み合わせ、表面の微細な凹凸を3次元的に復元するしくみです。懐中電灯を左から当てるか右から当てるかで床の段差の見え方が変わるのと同じ原理を、工業的な精度で行います。

! 4方向の照明で撮影したチャンネル2画像
照明の向きによって刻印文字の影が落ちる側が変わります。この影の違いが表面の傾き(法線)を計算する手がかりとなり、複数方向の情報を組み合わせて表面全体の3次元形状を復元します。
主役は3D表面画像 ― 色が消え、刻印だけが残る
これが今回の主役、再構成した 3D表面画像 です。

! 再構成された3D表面画像。印刷色が消え、刻印パターンだけが浮かび上がっている
- 印刷された色のグラフィックは、ほぼ完全に消えています。 平らな面に乗っているだけの色は形状として存在しないため、3D表面には現れません。
- 物理的に盛り上がった「YOKOSUKA」の刻印だけが、なめらかな起伏として残っています。 文字の角の丸みやエッジの立ち上がりまで読み取れます。
- 右下には印刷では説明できない微細な引っかき跡まで写り込んでいます。色ではなく形として残るため、3D表面でこそ見える情報です。
つまりTR-300は「何色が乗っているか」を取り除き、「どんな形をしているか」だけを純粋に取り出しているのです。
「色から切り離された形状」が検査で持つ意味
この能力は、現場の検査で次の価値につながります。
- 印刷・塗装の下の刻印を読む ― シリアル番号やロット番号を、印刷に惑わされず確認できる
- 反射に強い ― 金属やラミネートなど、反射で傷が見えにくい光沢素材でも凹凸を捉えられる
- 欠陥と汚れを見分ける ― 黒い点が打痕なのか拭けば取れる汚れなのかを、形状で切り分けられる
数マイクロメートル単位の微細な凹凸を、流れるラインでも捉える――TR-300は、この「形状を見る目」を検査工程に持ち込むために開発されたシステムです。
まとめ
- TR-300はフォトメトリックステレオで複数方向の照明画像から表面の3次元形状を復元するAI外観検査システムです。
- 「YOKOSUKA」ナンバープレートでは、印刷色が消え、刻印パターンだけが3D表面として浮かび上がりました。
- 色と形状を分離できることは、刻印の読み取り・光沢素材の傷検出・欠陥と汚れの判別といった現場課題に直結します。
TR-300による表面観察・外観検査のデモやサンプル評価をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。

