真上からの1枚では、起伏まではわからない ― 表面3D観察装置 TR-55
株式会社TOMOMI RESEARCHは、研究開発の現場で試料表面の微細な凹凸を三次元的に観察するための小型装置「TR-55」の提供を開始しました。中核となるのは3D再構成です。算出した表面の形を三次元モデルとして再構成し、回転させ、拡大し、斜めから見下ろすように観察できます。
研究開発の現場で、「表面の形」を見る手段は限られている
材料開発、表面処理、機械加工、電子部品の実装。研究開発の多くの場面で、「試料の表面がどうなっているのか」を目で確かめる作業が日常的に行われています。
しかし、カメラや光学顕微鏡で得られる像には、素材そのものの色と、照明がつくる陰影とが混ざり合っています。光の当て方を少し変えるだけで印象が変わるため、目にしている差が「色の違い」なのか「形の違い」なのかを切り分けることは、必ずしも容易ではありません。
表面の形状そのものを取り出す装置も存在します。ただし多くは専用設備であり、日々の実験の中で気軽に使える手段にはなっていない ― これが研究開発の現場の実感ではないでしょうか。
TR-55 ― 研究室の机の上に置く、表面3D観察装置

[TR-55の装置外観。黒い卓上型のベース筐体の上面中央に白い試料ステージがあり、背面の垂直な支柱にリング状の照明と、その上部にカメラとレンズが取り付けられている]
TR-55は、フォトメトリックステレオを当社が独自に発展させた3D画像化技術 FORESIGHT STEREO® を採用した表面3D観察装置です。操作環境として、GUIアプリケーション FORESIGHT STEREO Viewer を搭載しています。
TR-55は、量産ラインに組み込む検査装置ではありません。研究開発の現場で、試料の表面を三次元的に観察するための装置です。
構成はごく単純です。黒い卓上型の筐体の上面に白い試料ステージ。背面の支柱にリング状の照明と、その上部にカメラとレンズ。
操作も同じくらい単純です。試料を置き、Live で画面に映し、Start を押す。それだけで、色と形が分離された複数の出力が同時に得られます。撮り直しも、長い条件出しも必要ありません。
対象を取り替えながら、その場で結果を確かめられること。 TR-55の設計は、この一点を中心に据えています。研究の試行錯誤は、待ち時間が入るほどテンポが落ちるものだからです。
1回の撮像で、色と形が分かれる

[TR-55の4つの出力を2×2に並べたグリッド。左上がLive、右上が2D Texture、左下が3D Surface、右下がSurface Normal。同じ英国2ポンド硬貨を1回撮像した結果で、3D Surfaceでは色が失われて表面の凹凸だけが残り、Surface Normalでは面の向きが青紫を基調とした色で表されている]
TR-55が1回の撮像から取り出す出力は4種類です。Live は人の目に見えるままの像、2D Texture は表面の色・模様だけを取り出した出力、3D Surface は表面の形(凹凸)だけを復元した出力、Surface Normal は面の向きを色で符号化した出力で、これが3D復元の元データにあたります。表示は画面上の Show Mode で切り替えられます。
上の画像は、実際に流通し摩耗した英国2ポンド硬貨1枚を観察した例です。金色のリングと銀色のディスクからなるバイメタル構造のため、色と形が分かれる様子を追いやすい題材といえます。3D Surface では、金と銀の境界が見当たりません。それが「色」であって「形」ではなかったからです。
【中核】3D再構成 ― 回して、傾けて、見る

[3D Reconstructed Surfaceウィンドウ。英国2ポンド硬貨の表面形状を三次元モデルとして再構成し、2Dテクスチャを立体に貼り付けて斜め視点で表示している。外周リングの文字や内側ディスクの肖像が、立ち上がった形として確認できる]
ここまでの4出力は、いずれも真上から見た平面の画像です。そして真上からの1枚では、レリーフがどのように立ち上がっているのか、摩耗がどこまで広がっているのかは把握しにくい。平面に写し取られた時点で、「どこから見るか」という自由度が失われているからです。
TR-55の中核機能である3D再構成(3D Surface Reconstruction)は、ここを埋めます。算出した表面形状を三次元モデルとして再構成し、3D Reconstructed Surface という専用ウィンドウ上に表示する。あとは自由です。モデルを回転させ、拡大し、斜めから見下ろすように観察できます。
上の画像は、その斜め視点での表示です。外周リングをめぐる刻印文字が、平面に描かれた線ではなく、立ち上がった形として見えています。内側ディスクの肖像も、輪郭ではなく起伏として存在しています。
もう一点、この表示には特徴があります。再構成された立体に、2Dテクスチャが貼り付けられていることです。金色のリングと銀色のディスクの色が、復元された形の上に載っている。つまり「どの色が、どの形の上にあるのか」を、同時に確認できるということです。いったん色と形を分離したうえで、あらためて重ね直して見る ― 分離できているからこそ成り立つ見方です。
ウィンドウは任意の点を指し示す機能も備えており、注目したい箇所を明示しながら観察を進められます。
※本機能は対象物の形状を可視化・観察するためのものであり、寸法・深さの計測結果を保証するものではありません。
結果だけでなく、途中のデータにも手が届く

[FORESIGHT STEREO Viewerの操作画面。左に3Dサーフェス表示の硬貨、右にShow Mode・Enhance Mode・Preprocess Mode・Auto Object Alignment・Image Save Mode・Controlの各設定パネル、画面下部に3出力のプレビューが並んでいる]
FORESIGHT STEREO Viewer は、最終結果だけでなく途中のデータにも手が届く設計になっています。
技術をブラックボックスとして渡すのではなく、内部を見せ、手を入れられる状態で提供する。研究の現場に置く装置としては、こちらのほうが自然だと考えています。
想定される活用シーン
- 金属・樹脂の加工面、表面処理・コーティングの状態観察
- 摩耗・劣化の進行にともなう表面状態の観察
- 試作品のレリーフ・刻印・微細形状の確認
- 色のコントラストが乏しい形状的な変化について、色と形を分けて検討する用途
- 大学・研究機関における研究・教育用途
- 画像処理・機械学習の研究に向けたデータセット取得
提供について
ご利用用途、カメラ/照明構成、ソフトウェアオプションに応じて、構成を選択いただけます。研究室単位でもご検討いただける構成をご用意しており、価格は構成に応じて個別にお見積りいたします。
なお、TR-55を通じて得られた知見は、AIビジュアル検査システム TR-100/TR-300 およびAI異常検知ソフトウェア E3 ENGINE® にも還元し、技術の高度化を進めてまいります。
まとめ
表面の形を見るという営みは、長らく専用設備の側にありました。TR-55は、それを研究室の机の上に移すための装置です。試料を置いて、ボタンを押して、出てきた三次元モデルを回してみる ― お手元の試料で、その手触りを確かめていただければ幸いです。
本記事に掲載した画像は、英国2ポンド硬貨1枚を対象とした観察例です。あらゆる対象物・条件における結果を保証するものではありません。また、掲載した画像および出力は対象物の形状を可視化したものであり、寸法・深さの計測結果ではありません。個別の対象物・条件における観察可否については、実サンプルでのご確認をお願いいたします。
TR-55の詳細はプレスリリースをご覧ください。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000137322.html
お手元の試料での観察について、デモ・ご相談を承っています。
press@tomomi-research.com / Tel: 0466-54-9003
「FORESIGHT STEREO」「E3 ENGINE」「TR-300」「TR-100」は株式会社TOMOMI RESEARCHの商標または登録商標です。

