光沢素材の微細傷を流れるラインで検出するAI外観検査「TR-300」が奨励賞を受賞しました
このたび、株式会社TOMOMI RESEARCHの「高速・連続型AI外観検査システム TR-300」が、第38回「中小企業優秀新技術・新製品賞」(主催:公益財団法人 りそな中小企業振興財団、共催:日刊工業新聞社)の奨励賞を受賞しました。2026年4月15日(水)付の日刊工業新聞にも紹介いただいています。本記事では、受賞のご報告に加えて、「なぜ光沢素材の検査は難しいのか」「TR-300がその課題をどう解いているのか」を、製造現場の担当者の皆さまに向けて、できるだけ平易な言葉で解説いたします。

受賞のご報告と感謝
「中小企業優秀新技術・新製品賞」は38年の歴史を持つ、中小企業の技術・製品を評価する権威ある表彰制度です。今回、TR-300がその奨励賞に選出されたことは、当社にとって大きな励みとなりました。
日頃からTR-300の開発・検証にご協力いただいているお客さま、パートナー企業の皆さま、そして現場で真摯なフィードバックを寄せてくださる製造業の担当者の方々に、心より御礼申し上げます。今回の受賞は、こうした方々と積み重ねてきた対話なしには得られないものでした。
なぜ「光沢素材の外観検査」は難しいのか
製造業の品質管理に携わる方であれば、一度は次のような悩みに直面したことがあるのではないでしょうか。
- 金属部品やラミネートフィルムの表面に光が反射してしまい、カメラで傷がうまく捉えられない
- 熟練検査員の目視判断に頼らざるを得ず、担当者によって合否のばらつきが出る
- ライン速度を落とさずに、流れてくるワーク(加工対象物)を一つひとつ検査したい
- 人手不足で、検査工程をもう少し自動化したいが、AI画像検査は光沢素材に弱いと聞いて導入をためらっている
光沢のある素材は、光の当たり方によって反射が大きく変わるため、従来のカメラ撮影では傷なのか反射なのかを判別しにくい領域でした。AIによる画像検査が広がる一方で、「金属やフィルムのような光る素材は苦手」と言われてきたのはこのためです。
TR-300のしくみ ― フォトメトリックステレオ × AIの統合
TR-300は、この「光沢素材検査の壁」に正面から向き合うために開発された外観検査システムです。中核となるのは、フォトメトリックステレオ技術と呼ばれる方式です。
フォトメトリックステレオとは何か
フォトメトリックステレオとは、簡単に言えば「複数の角度から光を当てて撮影した画像を組み合わせ、表面の微細な凹凸を3次元的に把握する技術」です。
身近な例で考えると、夜に懐中電灯を左から当てたときと右から当てたときでは、床のわずかな凹凸の見え方が変わります。TR-300はこれを工業的に精密化した仕組みで、複数のライン型LED照明を同期制御しながら撮像し、画像処理によってワーク表面の3次元形状を取得します。
AI判定とヒートマップ可視化
得られた3次元形状データをもとに、AIが「これは傷か、それとも問題のないテクスチャか」を判定します。判定結果はヒートマップとして視覚的に表示されるため、どの位置にどの程度の欠陥があるのかが一目でわかります。
この一連の処理が高速に実行されることにより、静止したワークだけでなく流動状態のワーク、つまりラインを流れ続けるワークの検査にも対応できる点が、TR-300の大きな特徴です。数マイクロメートル(100万分の1メートル)レベルの微細な傷まで捉えられる精度と、連続処理できる速度の両立を目指して設計されています。
想定される応用分野
TR-300は、次のような分野での活用が想定されています。
- 鋼板の成形工程:鋼板表面の全箇所を連続して検査
- 自動車部品の製造:金属部品の外観品質チェック
- 板状・フィルム状ワーク:ラミネートフィルムなどの表面検査
- 織物・紙製品:テクスチャ素材への応用可能性
光沢素材に強いという特性から、従来は目視検査に頼らざるを得なかった工程にも、自動化・省人化の選択肢を広げられると考えています。
評価された3つのポイント
今回の受賞にあたり、TR-300が評価されたのは次の3点に集約できると考えています。
- 技術統合の独自性 ― フォトメトリックステレオ、高速画像処理、AI判定を一体で設計した点
- 実用レベルの完成度 ― 研究室の中だけでなく、流れる製造ラインで機能する構成として仕上げた点
- 製造業の現場課題への適合性 ― 人手不足・検査ばらつき・光沢素材の難しさという、現場で語られ続けてきた課題への答えを提示できた点
開発への想い ― CTOコメント
「このたび、権威ある『中小企業優秀新技術・新製品賞』奨励賞をいただき、大変光栄に思います。TR-300は、光沢素材の外観検査という、製造現場で長年『AIでは難しい』とされてきた領域に正面から取り組んだ製品です。フォトメトリックステレオと高速画像処理、AI判定を統合することで、流れる製造ラインでも数マイクロメートル単位の傷を見逃さない検査を実現しました。
日本の製造業が直面する人手不足と品質確保の両立という課題に対し、TR-300が確かな選択肢となれるよう、これからも技術開発を続けてまいります。」
― 株式会社TOMOMI RESEARCH CTO 崔成熏
今後の展望
当社は今後も、TR-300の適用範囲の拡張と性能向上に取り組んでまいります。現場ごとに異なるワーク形状・素材・ライン速度に対応できるよう、照明設計・画像処理・AIモデルの各レイヤーで改良を積み重ねていく計画です。
また、検査で得られた不良事例のデータ化を通じて、品質改善ループを支えるトレーサビリティ基盤としての価値もご提供していきたいと考えています。単に「傷を見つける装置」ではなく、「ものづくりの質を上げ続けるためのパートナー」として、皆さまの現場にお役立てできれば幸いです。
まとめ
- 「高速・連続型AI外観検査システム TR-300」が第38回「中小企業優秀新技術・新製品賞」の奨励賞を受賞しました
- フォトメトリックステレオ技術とAI判定を組み合わせ、光沢素材の微細傷を流れるラインで検出できる独自アプローチを採用しています
- 鋼板、自動車部品、フィルム、織物、紙など、幅広い素材への応用可能性があります
- 製造業の人手不足・検査ばらつき・光沢素材の難しさという現場課題に、実用レベルで応えることを目指しています
TR-300の詳細資料・デモのご相談はお気軽にお問い合わせください。
自社の検査工程に活用できるか、どのような照明構成が適するかなど、具体的なご相談にも個別に対応しております。
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