トレーディングカードの表面観察にも、FORESIGHT STEREO® ― 光沢面の「色」と「形」を分けて見る
光沢やホロ加工のあるトレーディングカードは、印刷の絵柄と表面の映り込みが重なり、浅い凹みや傷を見分けにくい対象です。当社の3D画像化技術 FORESIGHT STEREO® は、こうしたカードの表面観察にも活用できます。
本記事では、FORESIGHT STEREO®技術を搭載した表面3D観察装置 TR-55でカードの表面を撮影した出力画像を、順番にご紹介します。同じ1回の撮像から、印刷の色柄と表面の形がどのように分かれて見えるのかを、画像と一緒に確かめていただければと思います。
カードの鑑定・検査で見たいもの
カードの鑑定・検査の現場では、一般に次のようなことが求められます。
- 対象: 約63.5 × 88.9 mmのカード
- 表面仕上げ: グロッシー、クローム、リフラクター、マット、テクスチャー加工
- 見たい欠陥: 浅い凹み(dent)、押し跡(impression)、傷(scratch)、印刷ライン(print line)、表面のうねり(waviness)
- 撮像への要望: カード全体を1ショットで撮れる視野、高解像度、方向別の原画像・法線マップ・3D表面データの出力
光沢やホロ加工のある面は、見る角度で映り込みや色が大きく変わります。その上にある浅い凹みやうねりを、印刷の絵柄と切り分けて捉えたい。現場の専門家の方々が日々向き合っているこの課題に対して、表面の形を画像化するFORESIGHT STEREO®技術が役立ちます。
なお、2026年7月に公開した「真上からの1枚では、起伏まではわからない ― 表面3D観察装置 TR-55」では、英国の2ポンド硬貨を例に「1回の撮像で色と形が分かれる」ことをご紹介しました。本記事はその応用編にあたります。
TR-55での撮影:まずは見た目のまま

撮影の様子。黒いステージにカードを置き、上方からTR-55のリング照明で照らします。© Nintendo
TR-55は、卓上で対象物の表面を三次元的に観察する装置です。当社がフォトメトリックステレオ(照明の向きを変えて撮った複数の画像から、表面の向きを求める手法)を独自に発展させた3D画像化技術 FORESIGHT STEREO® により、1回の撮像から複数の出力を得られます。以下の画像は、GUIアプリ FORESIGHT STEREO Viewer の出力(3840×2160 px)です。

ライブ画像。見た目どおりのカラー画像です。© Nintendo
まずは見た目どおりのライブ画像です。カードの絵柄がカラーで写り、絵柄全体に星形のキラキラ模様(ホロ/箔調の加工)が散っているのがわかります。
今回はカードを縦向きに置いたため、カードの上下端はフレームの外に切れています。1ショットでの全体撮影については、後半であらためて触れます。
色柄が消えて、形が残る:表面法線マップ

左:ライブ画像/右:表面法線マップ。同じ1回の撮像から得られた出力です。© Nintendo
本記事の見どころがこの比較です。右の表面法線マップは、表面の各点がどちらを向いているかを色で表した画像です。
たとえるなら、紙に印刷された模様ではなく、紙の面そのものの「傾き」だけを写し取った地図のようなものです。面が同じ方向を向いていれば同じ色になり、向きが変わるところで色が変わります。そのため、印刷のインクの色の違いはこの地図には現れにくくなります。
キャラクターの絵柄の色はほぼ消え、全体が青紫系の一様な色調になりました。その中で、星形模様がはっきりと浮かび上がっています。番号「002」や人物の輪郭は、ごく薄く残る程度です。
つまり、ライブ画像では混ざって見えていた「印刷の色柄」と「表面の向きの情報」が、ここでは分かれて見えています。なお、星形模様が表面の凹凸(エンボス)によるものか、反射特性の違いによるものかは、まだ評価していません。[要確認: 星形模様が法線マップに出る理由についてCTOコメント]
起伏を色で強調する:3D表面カラーマップ

強調3D表面カラーマップ。色は相対的な高低を強調した表示で、深さの数値や欠陥を示すものではありません。© Nintendo
法線マップから再構成した表面の形を、高低に応じた色で強調表示したものです。カード面全体に緩やかな起伏が赤〜青の色で現れ、上部中央付近に局所的な高低の変化がやや集中して見えます。左右の端に沿っては強い色の帯が出ています。
ここでの色は、あくまで相対的な高低の強調表示です。寸法や深さの計測結果ではなく、欠陥の位置を示すものでもありません。
法線マップが「面の向き」を見せるのに対し、このカラーマップは「面全体の形」を俯瞰するためのものです。カードのように薄く平らに見える対象でも、表面の起伏を1枚の画像で見渡せることが、この表示の役割です。
カードの検査に活用するための構成
先に挙げたカードの鑑定・検査の一般的な要件に対して、TR-55は次のような構成で対応できる見込みです。
- 視野: TR-55で、カード全体を1ショットで撮影できる見込みです。
- 空間分解能: 3840×2160のカメラ構成で、視野に応じて約30〜32 µm/pixelとなる見込みです。
- 照明: 照明径は最大160 mmまたは200 mmに構成可能です。光沢・反射の強いカードで浅い凹み・押し跡・傷・うねりを捉えるうえで、有利な構成だと考えています。
- 撮影条件: 正確な評価のためには、保護ケースやホルダーから出した状態での撮影をおすすめします。
データを自社の処理に持ち込める
TR-55では、次のデータを出力できます。
- 方向別の光源画像(照明の向きごとの原画像)
- 2Dテクスチャ画像(色・模様の情報)
- 表面法線マップ(表面の向きの情報)
- 再構成3D表面データ
画面で眺めるだけでなく、これらを利用者ご自身の画像処理パイプラインに取り込み、判定ロジックや解析に活用していただけます。
カード以外にも、光沢のある印刷物、化粧面、フィルムなど、色柄と表面の形を切り分けて見たい対象は少なくありません。FORESIGHT STEREO®技術は、こうした光沢・印刷面の表面観察にも応用できる可能性があります。
まとめ:カードの表面観察に、色と形を分けて見る選択肢を
FORESIGHT STEREO®技術を搭載したTR-55なら、同じ1回の撮像から、見た目どおりのライブ画像と、印刷の色柄がほぼ消えて表面の向きが残る画像の両方が得られます。光沢やホロ加工で見分けにくいカード表面も、「色」と「形」を分けて観察できます。
浅い凹み・押し跡・傷・印刷ライン・うねりといった、カードの鑑定・検査で見たい表面の状態を想定した照明構成も可能です。出力データは自社の判定・解析にそのまま活用していただけます。
お手持ちのカードで撮影デモを
トレーディングカードをはじめ、光沢面・印刷面の表面観察にご関心のある事業者の方は、お気軽にご連絡ください。お手持ちのカードや光沢・印刷面のサンプルでの撮影デモのご相談を承ります。
お問い合わせ:株式会社TOMOMI RESEARCH
info@tomomi-research.com / Tel: 0466-54-9003
※掲載画像はカード1枚の表面を観察した例であり、あらゆる対象・条件での結果を保証するものではありません。また、寸法・深さの計測結果ではありません。
※カード画像 © Nintendo
本記事は任天堂株式会社とは関係ありません。
「FORESIGHT STEREO」「E3 ENGINE」は株式会社TOMOMI RESEARCHの商標または登録商標です。


