「この鋼板に欠陥があります。見えますか?」― Foresight Stereoで、色では見えない打痕を"形"として映し出す
この鋼板の表面には、実は欠陥があります。どこか分かりますか? 右の矢印プレートに目は行っても、肝心の欠陥そのものは見つけにくいはず。それはこの欠陥が打痕(だこん=押し込み疵)、表面がわずかに凹んだ「形」の欠陥で、色のコントラストがほとんどないからです。TOMOMI RESEARCHのステレオ3Dイメージング技術 Foresight Stereo でこのサンプルを1回だけ撮像し、1ショットから4種類の出力を同時に取り出しました。色では見えない打痕が"形"として現れる瞬間をご覧ください。

ライブ画像:矢印プレート左脇の打痕は、うっすらした白い模様にしか見えない
なぜこの打痕サンプルなのか
被写体は鋼板の打痕(押し込み疵)の限度見本(合否の境目を示す基準サンプル)で、「メーカーロール押し込み限度/但し、使用用途でNG」のラベルと、位置を指す矢印プレートが貼られています。

限度見本の実物。ラベルと、打痕を指す矢印プレート
わざわざ矢印が要るのは、それがなければ位置すら指し示せないから。打痕は色の変化ではなく、素材が押し込まれてできたほぼ純粋な「形」の欠陥です。色コントラストがないため2D画像や目視では取りこぼしやすく、合否判定が検査員の熟練度に左右される属人的な官能検査になりがちです。
Foresight Stereo ― 1回の撮像から4出力
Foresight Stereo は、1回の撮像から4出力を同時に生成します。前半2つは「色」寄り、後半2つは「形」寄りの見方です。
- ライブ画像 ― 見えるまま
- 2Dテクスチャ ― 色・模様だけ(アルベド=素材本来の色)
- 3Dサーフェス ― 形(凹凸)だけを復元
- サーフェスノーマル ― 表面の向き(法線)を色で符号化
色では見えない ― ライブ画像・2Dテクスチャ

2Dテクスチャ:色だけを残しても、打痕は非常に淡いまま
ライブ画像(冒頭)でも、色・模様だけを残した2Dテクスチャでも、打痕は非常に淡いままです。「色」の欠陥ならこの色レイヤーでこそ際立つはず。それが見えないのは、打痕が色の情報をほとんど持たない、形としてしか存在しない欠陥だという裏返しです。
形として現れる ― 3Dサーフェス・サーフェスノーマル

3Dサーフェス:平坦部はノイズ状になり、打痕だけが鋭い形として黒く浮かび上がる
3Dサーフェスで見方が一変します。平坦な鋼板はノイズ状の均一な地になり、その中に打痕だけが鋭い形として黒くくっきり浮かび上がります(矢印プレートの擦り傷や左上の小さな別マークまで拾う感度)。平らな面に乗っただけの色は消え、物理的に変形した部分だけが残る ―― この引き算が打痕を可視化します。

サーフェスノーマル:青紫のグラデーションの中で、打痕だけが虹色に発光
その復元の元データがサーフェスノーマルです。平坦部は青紫のグラデーション、打痕だけが鮮やかな虹色に発光します。面の傾きが急に変わっている=表面が凹んでいる証拠で、4枚の中で最も視覚的インパクトの強い締めくくりです。
検査現場での意味
- 色では見えない凹み欠陥を「形」として捉える(打痕・凹み・ヘコミも、3D出力なら明確な特徴に)
- 限度見本の属人的な判定を助ける(目視・触診頼みの官能検査に、形状という共通のものさしを)
- 1ショットで4視点 ― 撮り直さず色と形を同時に取得
これは以前ご紹介した半導体デモ(変色が3Dで消える=色だと分かる話)の、ちょうど逆方向の物語です。今回は打痕が2Dで見えないのに3Dで現れる=形だと分かる ―― 同じ「色と形を分けて見る」発想の、別の見せ方です。なお今回は1サンプルの観察デモであり、あらゆる素材・欠陥への性能保証や、深さ・寸法の測定ではありません。
お手元の"見えにくい凹凸欠陥"サンプル(打痕・凹み・ヘコミ、限度見本での官能検査に悩むワーク)でForesight Stereoを試してみたい方へ。デモやサンプル評価のご相談を承っています。 [https://www.tomomi-research.com/contact]


